ご 挨 拶
日頃よりバリア研究会をご支援いただき,厚く御礼申し上げます。
我が国は島国であるとともに国土の70%以上を山岳地帯が占める山国でもあります。その結果、多くの幹線道路や生活道路、住居等が斜面に近接しています。したがって「安全・安心を確保するための道路際や斜面法尻での防護延長が非常に長い」というのが日本の落石防災の一つの特長です。
昭和40年代後半に自動車が輸送体系の主流を占めるに至り、道路の安全確保が急務となった結果、現在では従来型と呼ばれているH形鋼とワイヤロープおよび金網で構成された防護柵が、価格や資材調達の容易さから全国で使用され一応の基準で急速に整備が進められてきました。しかし当時は詳細に斜面調査ができる時間的余裕もなく、現在の調査基準から見れば落石径や跳躍高さに対応しきれていない場所も存在しています。
ロックバリアはこのような個所の安全性を高めるために最大750kJ程度までの落石を対象として、比較的安価に費用対効果の高い落石防護柵を目指して開発しました。また、わが国では発生源に近い斜面中腹に設置する場合には、欧米のようにヘリコプターでの施工が困難なため、極力人力施工のできることが求められています。ロックバリアは全ての部材を人力で組み立てることができ、アンカーも自穿孔式で設置可能となっています。
もちろん経済性、施工性だけでなく性能についても、(公社)日本道路協会により2017年12月に改訂された落石対策便覧で規定されている実験による性能照査方法に基づき、各エネルギー基準の実験を実施し、各型式の中間スパンおよび端末スパンで性能を確認済みです。
このようにロックバリアは性能、施工性、経済性を兼ね備えた落石防護柵として、お客様からの評価も高く、急速にご採用が増えている現状です。
これからも自然災害の多いわが国の安全と安心に少しでもお役に立てていただけるよう研究会員一同、日々精進してまいる所存です。今後とも倍旧のご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
バリア研究会
会長 小林 大志